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貿易(輸出入)を行う会社に関するM&Aを行う場合の留意点 ―貿易DDの必要性―

2024.02.08

目次

1.概要

会社が、他の会社を買収したり、他の会社と合併するなどM&Aを行う場合、他の会社の実態を事前に把握し、価格や取引条件について適切な判断を行うために、デューディリジェンス(買収監査、DD)を行うことが一般的です。

 

DDでは、一般的に、法務DD(買収対象会社の法令順守状況や訴訟リスク等を把握する調査)、税務DD(買収対象会社の税申告の正確性や納税状況等を把握する調査)、財務DD(買収対象会社の財務状況、財務リスク、課題等を把握する調査)などを行います。

そして、貿易(輸出入)を行う会社に関するM&Aを行う場合には、上記DDに加えて、以下のとおり貿易(輸出入)を行う会社に特異な法的リスクがあるため、貿易分野の実態を把握するための貿易分野に関するデューディリジェンス(貿易DD)を行うことが望ましいです。

 2.貿易(輸出入)を行う会社に特異な法的リスク

(1)輸出を行う会社の場合

輸出を行う会社の場合、輸出取引において、関税法等に従った手続き等をしていない場合、税関による関税法違反の犯則調査により税関からの通告処分や罰金刑などの制裁を受けるリスクがあります。

また、輸出を行う会社の場合、外為法に基づくハイテク製品や機器類等の輸出規制など、貿易関連法令による輸出規制を課されている場合があり、このような貿易関連法令違反により罰金の納付等の制裁を受けるリスクもあります。

 

(2)輸入を行う会社の場合

輸入を行う会社の場合、上記の犯則調査や貿易関連法令違反により制裁を受けるリスクに加え、輸入時の課税価格の算定ミス(アンダーバリュー、加算要素漏れ等)による修正申告のリスクがあります。

 

 

以上のように、貿易(輸出入)を行う会社には特異な法的リスクがあり、M&Aの実施や取引条件等に大きな影響を与えるおそれがあるため、そのような会社のM&Aを行う場合には、その貿易分野に関する実態を把握するための貿易DDを行うことが望ましいです。しかし、実際のM&A実務では貿易分野におけるデューディリジェンスは行われず、貿易(輸出入)取引の法的リスクの検討ができないまま取引が実行されていることもあります。仮に貿易DDが行われない場合には、将来的に上記のリスクが顕在化し、買収された会社等の事業に深刻な影響が生じたり、当事者間で紛争が生じるおそれもありますので、M&Aを行う際には、貿易(輸出入)の視点からも法的リスクの洗い出しを行うことをお勧めいたします。

 

当事務所には、通関士資格を有している弁護士がおり、輸入申告方法の是非の判断業務、税関事後調査への対応業務、輸出入通関にともなう税関トラブルへのサポート業務を提供しております。また、貿易(輸出入)を行う会社のM&Aに関するサポート、デューディリジェンスにも対応しています。ご相談をご希望の場合は、電話又はメールにて、当事務所にお気軽にお問い合わせください。ご相談のお申込みはこちらから行うことも可能です。

貿易、通関、税関対応でお困りの方に

2024.02.08