本日は、事前教示制度の概要をご紹介します。
事前教示制度とは、輸入者等が、貨物を輸入する前に、税関に対して、当該貨物の関税分類(税番)、原産地、関税評価等の照会を行い、その回答を受けることができる制度です(関税法7条3項)。
輸入者等は、この事前教示制度を利用することで、事前に関税分類(税番)、原産地、関税評価等に関する税関の考えを把握することができます。そのため、誤った輸入申告によって、輸入申告時又は輸入申告後に申告内容を修正する必要が生じるといった事態等を回避することにつながり、適切かつ迅速に輸入申告を行うことを希望する輸入者等にとっては有用な制度といえます。
事前教示制度に基づく照会は、原則として文書により行う必要があり、文書での照会の場合には文書での回答がなされ、最長で3年間の有効期限内は、その回答の対象となっている輸入貨物に対する税関の審査において回答内容が尊重されるという取扱いがなされます。なお、口頭で照会を行うことも可能ですが、文書による照会の場合と異なり、口頭での照会に対する回答は口頭でなされ、またその回答内容は税関の審査において尊重されません。
文書による事前教示制度を利用する場合には、特に注意するべき点があります。
それは、文書での回答の内容は、あくまでも照会者である輸入者等から示された事実関係、及びその時点の法令に基づき判断された結果であるという点です。そのため、例えば、照会者である輸入者等が不十分な事実関係を申告し(一見)望ましい回答を得た場合でも、実際の輸入貨物に係る事実関係が申告した事実関係と異なるときは、実際の輸入の審査の際に当該回答は尊重されず、輸入者等にとっては想定外の(望ましくない)審査結果となる可能性があります。したがって、文書による事前教示制度を利用する場合には、法令を把握した上で、事実関係を適切に整理し、照会を行うことが非常に重要となります。
当事務所には、通関士資格を有している弁護士がおり、輸出入申告方法の是非の判断業務、税関事後調査への対応業務、輸出入通関にともなう税関トラブルへのサポート業務を提供しております。
事前教示制度の利用の準備から実際の照会のサポートまでご対応可能ですので、ご相談をご希望の場合は、電話又はメールにて、当事務所にお気軽にお問い合わせください。