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ECプラットフォーム運営事業者等が提供するフルフィルメントサービスを利用する貨物に関する輸入者申告者について

目次

1. 関税法等に関する令和5年7月改正の背景、概要

越境電子商取引の拡大に伴い、通販貨物等の輸入が増加し、不正薬物や知的財産侵害物品等の密輸が多数摘発され、また、フルフィルメントサービス利用貨物(以下「FS利用貨物」といいます。)については不当に低い価格で輸入申告することで関税等をほ脱するという脱税事案が顕在化していることを踏まえ、円滑な輸入を引き続き確保し、水際取締りの実効性の確保及び適正な課税を実現するため、令和5年7月付で、税関より、輸入申告項目及び税関事務管理人制度について改正を行うことが公表されました。
この度の改正では、以下の事項が改正されます。

  1. 輸入者の住所及び氏名を輸入申告項目に追加(関税法施行令59条)
    https://www.customs.go.jp/kaisei/seirei/2023seirei179/shinkyu.pdf
  2. ⑴に伴い輸入申告者の意義を明確化(関税法基本通達67‐3‐3の2)
    https://www.customs.go.jp/kaisei/tsutatsu/2023tsutatsu/2023tsutatsu592/annex1-2.pdf
  3. 税関事務管理人の届出項目への「届出者と税関事務管理人との関係」等の追加及び税関事務管理人届出の際の税関事務管理人との委任契約関係書類の提出
  4. 税関長が非居住者等に税関事務管理人の選定・届出等を要請し、非居住者が期限までに要請に応じない場合に、税関長が、非居住者の一定の国内関連者を税関事務管理人として指定することを可能とする規定を整備

上記⑵の改正により、FS利用貨物に関する輸入申告者が従前から変更される可能性があります。

2. 輸入申告者の意義の改正内容

税関は、令和5年6月30日付で関税法基本通達を以下のとおり改正し(施行期日令和5年10月1日)、輸入申告者の意義をより明確化しました。

(関税基本通達)

https://www.customs.go.jp/kaisei/tsutatsu/2023tsutatsu/2023tsutatsu592/annex1-2.pdf

 

※下線が改正箇所です。

(納税義務者に関する用語の意義)

6―1 法第6条に規定する納税義務者に関する用語の意義は、それぞれ次による。

  1. 「貨物を輸入する者」とは、輸入取引(定率法第4条第1項に規定する輸入取引をいう。後記67-3-3の2において同じ。)により輸入される貨物については、原則として仕入書(仕入書がない場合には船荷証券等)に記載されている荷受人(輸入申告者の資格が限定されている場合(関税定率法施行令(昭和29年政令第155号)第7条第2項、第16条の2第2項、関税暫定措置法施行令(昭和35年政令第69号)第33条の5第2項等)においては、その該当者(以下「限定申告者」という。))をいい、貨物が輸入の許可前に保税地域等において転売されたような場合には、その転得者をいう(以下これらの者を「輸入者」という。)。
  2. (省略)

(貨物を輸入しようとする者の意義)

67-3-3の2 令第59条第1項第1号に規定する「貨物を輸入しようとする者」の意義については、次による。

  1. 輸入取引により輸入される貨物については、前記6-1⑴に規定する「貨物を輸入する者」と同様とする。
  2. 上記⑴以外の場合には、輸入申告の時点において、国内引取り後の輸入貨物の処分の権限を有する者をいい、その者以外に輸入の目的たる行為を行う者がある場合にはその者を含むものとする。この場合において、輸入の目的たる行為を行う者とは、例えば、次に掲げる者が該当する。

    1. 賃貸借契約に基づき輸入される貨物については、当該貨物を賃借して使用する者
    2. 委託販売のために輸入される貨物については、当該貨物の販売の委託を受けて販売する者
    3. 加工・修繕のために輸入される貨物については、当該貨物を加工・修繕する者
    4. 滅却するために輸入される貨物については、当該貨物を滅却する者
      なお、当該「貨物を輸入しようとする者」は、法第6条の規定に基づき、当該貨物に係る関税を納付する義務を負うことになるので留意する。

3. 改正に伴い輸入申告者が変更になる場合

上記2の改正により、FS利用貨物について、従前、輸入申告手続き等の委託を受けた輸入代行者が輸入申告者となっていたところ、当該輸入代行者は輸入申告者になれないこととなり、ECプラットフォームでFS利用貨物を販売する販売者が輸入申告者となります。
なお、当該販売者が本邦に住所及び居所(事務所及び事業所を除く。)を有せず、若しくは有しないこととなる場合又は本邦に本店若しくは主たる事務所を有しない法人であり、本邦にその事務所及び事業所を有せず、若しくは有しないこととなる場合は、輸入申告に際し、税関事務管理人を定めて届け出る必要がありますので、ご留意ください。

 

 

当事務所には、通関士資格を有している弁護士がおり、輸入申告方法の是非の判断業務、税関事後調査への対応業務、輸出入通関にともなう税関トラブルへのサポート業務を提供しております。今回の改正に関連するご相談も多く扱っており、関税法、関税定率法その他関係法令の知識を有した弁護士が、これまでの経験を踏まえ、改正の内容を踏まえた対応の検討をサポートしております。ご相談をご希望の場合は、電話又はメールにて、当事務所にお気軽にお問い合わせください。ご相談のお申込みはこちらから行うことも可能です。

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