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令和5年7月関税法関連法令に関する改正を踏まえた化粧品に関する輸入代行の留意点

2023.09.12

目次

1. 化粧品に関する輸入代行

化粧品を輸入する場合、その輸入には薬機法による法規制が及び、製造販売業の許可や品目の届出を行う必要があります。もっとも、化粧品を輸入しようとする者が製造販売業の許可を有していない場合に、製造販売業の許可の取得の手間等を踏まえ、自身でその許可を取得するのではなく、製造販売業の許可を取得している業者に化粧品の輸入代行を依頼する(製造販売業の許可を取得している業者を輸入申告者とする)場合があります。

2. 輸入申告者の意義の改正

税関は、令和5年6月30日付で関税法基本通達を以下のとおり改正し(施行期日令和5年10月1日)、輸入申告者の意義をより明確化しました。

(関税基本通達)

https://www.customs.go.jp/kaisei/tsutatsu/2023tsutatsu/2023tsutatsu592/annex1-2.pdf

 

※下線が改正箇所です。

(納税義務者に関する用語の意義)

6―1 法第6条に規定する納税義務者に関する用語の意義は、それぞれ次による。

  1. 「貨物を輸入する者」とは、輸入取引(定率法第4条第1項に規定する輸入取引をいう。後記67-3-3の2において同じ。)により輸入される貨物については、原則として仕入書(仕入書がない場合には船荷証券等)に記載されている荷受人(輸入申告者の資格が限定されている場合(関税定率法施行令(昭和29年政令第155号)第7条第2項、第16条の2第2項、関税暫定措置法施行令(昭和35年政令第69号)第33条の5第2項等)においては、その該当者(以下「限定申告者」という。))をいい、貨物が輸入の許可前に保税地域等において転売されたような場合には、その転得者をいう(以下これらの者を「輸入者」という。)。
  2. (省略)

(貨物を輸入しようとする者の意義)

67-3-3の2 令第59条第1項第1号に規定する「貨物を輸入しようとする者」の意義については、次による。

  1. 輸入取引により輸入される貨物については、前記6-1⑴に規定する「貨物を輸入する者」と同様とする。
  2. 上記⑴以外の場合には、輸入申告の時点において、国内引取り後の輸入貨物の処分の権限を有する者をいい、その者以外に輸入の目的たる行為を行う者がある場合にはその者を含むものとする。この場合において、輸入の目的たる行為を行う者とは、例えば、次に掲げる者が該当する。
    1. 賃貸借契約に基づき輸入される貨物については、当該貨物を賃借して使用する者
    2. 委託販売のために輸入される貨物については、当該貨物の販売の委託を受けて販売する者
    3. 加工・修繕のために輸入される貨物については、当該貨物を加工・修繕する者
    4. 滅却するために輸入される貨物については、当該貨物を滅却する者
      なお、当該「貨物を輸入しようとする者」は、法第6条の規定に基づき、当該貨物に係る関税を納付する義務を負うことになるので留意する。

この改正により、輸入申告者は基本的に輸入貨物の仕入書に荷受人として記載されている者や輸入貨物の処分権限を持つ者に限定されるため、単に通関手続きの委託を受けた輸入代行者は輸入申告者となれないことになりました。

もっとも、化粧品の輸入代行であっても、輸入代行業者が輸入貨物を仕入れ、輸入代行業者が荷受人となる場合には、この改正を踏まえても輸入代行業者は輸入申告者となることができます。

今回の改正を踏まえ、「輸入代行」という建付けから、税関から輸入申告者の適切性について指摘を受ける可能性もありますが、その場合には、改正内容や化粧品の輸入に係る取引の流れを整理したうえで、輸入代行業者が輸入申告者となることができることを説明していく必要があります、

 

 

当事務所には、通関士資格を有している弁護士がおり、輸入申告方法の是非の判断業務、税関事後調査への対応業務、輸出入通関にともなう税関トラブルへのサポート業務を提供しております。化粧品の輸入に関する検討、対応のサポートにも対応しています。ご相談をご希望の場合は、電話又はメールにて、当事務所にお気軽にお問い合わせください。ご相談のお申込みはこちらから行うことも可能です。

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2023.09.12