今回は、逆委託加工貿易における原材料等輸出時の留意点についてご紹介します。
1.逆委託加工貿易とは
逆委託加工貿易とは、委託者である日本国内の業者が、海外の業者(受託者)に対して、原材料等を供給した上で加工を委託し、加工後に当該加工製品を日本に輸入する取引のことをいいます。
つまり、委託者としては、原材料等の輸出と加工品の輸入という、通関面では2つの手続きが発生することとなります。
2.逆委託加工貿易における原材料等輸出時の留意点
原材料等の輸出に際しては、日本側では関税がかからないこと、無償提供を行うことも多いことから、輸入に比べ安易な考えから輸出貨物の価格を低額にして申告してしまう輸出者がいらっしゃるようです。
しかし、輸出に際しても、輸出貨物の品名、数量及び価格等につき適正な申告を行う義務があり(関税法67条)、虚偽書類を提出した場合などに罰則の規定もあります(関税法111条)。
さらに、100万円を超える皮革製品などの輸出を行う場合には、経済産業省の承認が必要となりますので、この点も十分に注意する必要があります。
以上のとおり、たとえ関税がかからない輸出手続きであったとして、通関手続きを伴う国際取引であることをご認識いただき、諸手続を適正に行う必要があります。
逆委託加工貿易の場合には、加工終了後の輸入時の課税価格決定の際に、日本から無償提供した原材料の価格等を加算する必要があり、それと相まって輸出時の申告方法についても問題が顕在化してしまうことがありますので、特に注意が必要です。
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