今日は、輸入業者の帳簿及び書類保存義務についてご紹介します。
業として輸入を行う者には、法律上、帳簿及び書類の保存義務が課せられています。
①帳簿の記載内容
輸入許可貨物の品名、数量、価格、仕出人の氏名又は名称、輸入許可の年月日、輸入許可番号を記載する必要があります。
帳簿の保存期間は、輸入許可の日の翌日から7年間です。
なお、書類又は輸入許可書に、帳簿に記載すべき事項の全部又は一部が記載されている場合は、当該書類又は輸入許可書を保存することにより、当該事項にかかる帳簿への記載を省略することができます。その場合は、当該書類又は輸入許可書を7年間保存する義務が生じます。
②書類の保存
保存すべき書類は、①の帳簿、輸入貨物の契約書、輸入申告に係る貨物の運賃明細書、保険料明細書、包装明細書、価格表、製造者若しくは売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類、その他課税標準の決定のために必要な書類などです。
書類の保存期間は、輸入許可の日の翌日から5年間です。
税関の輸入事後調査においては、準備万端の大企業などを除き、多かれ少なかれ帳簿書類の保存の不備を指摘されるケースが多いです。
この帳簿書類の保存義務違反に対する罰則は、法律上、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すると規定されています。(関税法115条の2①)
税関事後調査において、罰則まで課せられることはほとんどないと思われますが、業として輸入行為を行っている以上、法令を遵守すべきですし、法令遵守の姿勢で事業を行うことが税関との円滑な関係の構築にもつながるものと思料します。
輸入者としては、日頃から自らの行っている輸入手続きをしっかりと把握し、必要があれば改善していくことが大切です。
とはいえ、上記改善がなされないまま税関の事後調査が入ってしまうこともあります。
その場合には、これらの問題を踏まえた上で、専門家を交えて検討し、税関調査の準備、税関との交渉を行うことが肝要となります。
税関の事後調査に立ち会い、交渉をすることができるのは、通関士又は弁護士のみです。
当法律事務所には、弁護士資格と通関士資格を両方取得している弁護士がおります。交渉を業務の常とする弁護士が、通関士資格に裏打ちされた知見に基づき、税関との交渉の代理・税関事後調査への対応のアドバイスを行うことが可能です。
税関の事後調査の対応・対策をご検討される際には、電話又はメールにて、当事務所にお気軽にお問い合わせください。ご相談のお申込みはこちらから行うことも可能です。
その他、輸入事後調査対応に限らず、税関対応・貿易に関するご相談もお受けしております。