新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、2020年4月に緊急事態宣言が発令されて以降、2021年9月までの間、緊急事態宣言等は断続的に行われており、それに伴って、税関の事後調査の実施は全国的に抑制された状況でした。
これは、事後調査が、通常、事業所への訪問を伴っていて、長時間の接触が避けがたいことが予想されたために、税関として感染拡大を抑えるためであったと考えられます。
2021年10月から、感染状況が落ち着いて減少傾向になったことや新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が広がったこと等から、緊急事態宣言等が解除されることになりました。
このような社会状況の変動を踏まえ、私どもに寄せられる相談においても、輸入事後調査の再開を前提とした税関の活動を伺わせる相談が増えてきており、税関が事後調査を再開する兆候を感じ取っていいます。
もっとも、新型コロナウイルス感染症の脅威は、未だ収束しているとまではいえないことから、税関として、人との接触機会を減らす形で事後調査を実施できるように各種の工夫を試みていることがあります。
例えば、事前に書類の提出を求めてきたり、調査の日数を限定したりといった工夫です。
こうした手法は、従来の事後調査の場面では、あまり見られなかったものです。
とはいえ、事後調査の本質は変わらず、税関の調査の目的や、確認しなければならない内容は従来と同一です。
したがって、事後調査に臨む事業者としても、求められる対応が大きく変わることはありません。従来の事後調査対応と同様に、事前に十分な準備をしておくことが望ましいといえます。事前に書類を提出するとしても、事後調査に臨む際と同様に、しっかりと検討した上で、書類の提出を行うことが肝要です。
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