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税関事後調査における加算税の支払 ー弁護士兼通関士による対応と対策ー

目次

今回は、税関事後調査における加算税の支払いについてご紹介します。

輸入に関する税関の事後調査では、アンダーバリューや買付手数料等の解釈の齟齬などにより、課税価格の算定の誤りを指摘される場合があります。課税価格の算定に誤りがありますと、それを基に計算される関税及び消費税の額にも誤りがあるということとなり、関税及び消費税の申告漏れがあることとなります。

税関では、令和3事務年度(令和3年7月から令和4年6月までの1年間)において1,484者に対して、輸入に関する税関の事後調査を行っており、そのうち約75%が税関から申告漏れ等を指摘されています。

事後調査において、税関から上記指摘を受けた場合で、その内容がやむを得ないといえる場合には、輸入者は、原則として、税関の指示に従って任意に輸入申告の修正申告を行い、関税及び消費税について、不足税額及び附帯税を支払うこととなります。

不足税額は、当初申告の際に納付した税額と、税関からの指示に従って計算した場合の税額との差額となります。

附帯税には、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税等があります。
①過少申告加算税
以前申告した税額に不足額があった場合に課される税金です。
当該修正申告において納付する不足税額の10%(修正申告等により増加した税額のうち、当初申告税額又は50万円のいずれか多い金額を超える部分については、当該超える部分の15%)に相当する金額を過少申告加算税として納付する必要が生じます(関税法12の2Ⅰ、Ⅱ)。
ただし、過少申告であったことが正当な理由によるものであると認められる部分がある場合には、この部分に対しては過少申告加算税は課されません。また、その修正申告が関税に関する調査があったことにより更正がなされることを予知してされたものでないときは過少申告加算税は課されません(関税法12条の2Ⅲ、Ⅳ)

②無申告加算税
 
輸入申告が必要とされるにもかかわらず当該申告を行わずに輸入された貨物について、税関長の決定があった場合、又は当該決定後に更正があった場合に課される税金です。
当該決定等により納付すべき税額の15%(決定等により納付すべき税額が50万円を超える部分については、当該超える部分の20%)に相当する金額の無申告加算税が課されます(関税法12条の3Ⅰ、Ⅱ)。
ただし、無申告であったことが正当な理由によるものであると認められる場合には、無申告加算税は課されません。(関税法12条の3Ⅲ)

③重加算税
納税義務者(輸入者)が、隠蔽又は仮装行為を行い、それに基づいて輸入申告を行った場合又は輸入申告自体を行っていなかった場合に課される税金です。
過少申告加算税が課される場合は、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額の35%に相当する金額の重加算税が課されます(関税法12条の4Ⅰ)。
無申告加算税が課される場合は、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額の40%に相当する金額の重加算税が課されます(関税法12条の4Ⅱ)。
ただし、隠ぺい又は仮装されていない事実に基づいて計算した税額は、重加算税の計算の基礎となるべき税額から控除されます。
なお、重加算税と、過少申告加算税又は無申告加算税は併科されません。

 

また、その他に、不足税額及び加算税等には延滞税がかかりますので、この点も認識しておく必要があります。

 

上記のように、税関の事後調査により、不足税額と附帯税を納付する必要が生じる場合には、調査対象が過去3年分の取引であることも加味すると、相当な金額に達する傾向にあります。

この点、専門家を交えて、税関事後調査の事前準備・税関の指摘の正当性の検討・税関との交渉を行うことで、場合によっては負担額を減額できる可能性があります。

税関との交渉、事後調査への立ち会いを行うことができるのは、通関士又は弁護士のみであるところ、当法律事務所には、通関士資格を有している弁護士がおります。交渉を業務の常とする弁護士が、通関士資格に裏打ちされた知見に基づき、税関との交渉の代理・アドバイスを行うことが可能です。(なお、税理士は、税関に関する問題については、職務権限外となっております。)

税関の事後調査の対応・対策をご検討される際には、電話又はメールにて、当事務所にお気軽にお問い合わせください。ご相談のお申込みはこちらから行うことも可能です。

その他、輸入事後調査対応に限らず、税関対応・貿易に関するご相談もお受けしております。東京税関に限らず、他の税関に対する対応についてもご相談可能です。

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